いつも患者さんの気持ちは真ん中に―専門性高い三位一体の立体的なケアをこれからも―

Q.こちらに入職されたきっかけや決め手になったことを教えてください。

A.作業療法士としてのキャリアは20年以上です。さまざまな現場を経験してきましたが、精神科の仕事には以前より興味がありました。作業療法士をはじめ、理学療法士や言語聴覚士といった専門スタッフが常駐しているような精神科はなかなかありませんが、こちらはそういう部分にも熱心に取り組まれており、患者さんに対してトータルで質の高いケアの実現を目指されています。とても共感しました。加えて、扶老会は施設内に保育施設が併設されており、当時、2歳の子供を抱えていた私にとっては大変ありがたい環境でした。女性にとって、自分のキャリアを生かしながら、安心して働ける職場であるということはとても重要なことですよね。イヤイヤ期まっただ中の2歳児を連れての出勤は毎日ドタバタで、皆さんにも多々ご迷惑をおかけしました。それでも笑顔で迎え入れてくださる保育所の皆さんや、理解ある職員の皆さんにはいつも支えていただきました。今思い返してみても感謝の気持ちで一杯です。

Q.現在のお仕事内容、大切に考えられていることなどを教えてください。

A.リハビリテーション科の主任をしています。作業療法士として直接的に患者さんのケアに携わることもありますが、主には各病棟でそれぞれの業務にあたっているスタッフたちのコーディネート的な仕事が多いですね。各病棟から戻ってくるスタッフたちの相談事や、持ち帰ってきた案件などに対して話し合いをしたり、解決に向けての糸口を見つけ出すことが私の仕事です。

精神面でのご病気を抱えていらっしゃる患者さんたちに対して、私たち作業療法士が提供するものは、単なる身体的なケアだけではありません。心のケアも合わせて必要となる現場ですから、例えば患者さんがお好きなスポーツや歌、絵を描いたりといった創作活動も効果的に取り入れながら、お一人お一人の気持ちを真ん中に、一緒に楽しみながら行うケアです。その中でご自身で気づきを得ていただいたり、ストレス発散に繋げるなど、コミュニケーションの仕方を再学習していただくような導きを軸にしています。内面的な奥深い部分にも触れる仕事です。入院患者さんはほとんどがご高齢の方ですので、それに加えて身体的なリハビリやトレーニングも合わせて必要となります。

また、当院の特徴は、さらに理学療法士や言語聴覚士と三位一体となっての立体的なケアの提供です。一般的に言うリハビリとは違い、幅広くいろんなアプローチの可能性が広がるケアです。中でも作業療法士たちは「心のリハビリテーション」に力を入れています。身体的なケアは理学療法士がしっかりついてサポートしていますので、機能訓練的な内容も充実しています。敷地内には扶老会グループのさまざまな施設がありますから、そういった意味でも多彩な方向性やアプローチを考えやすい場です。それぞれがその道のプロフェッショナルとして専門性高いケアを提案できていると思います。私はその部門の責任者として、さらにもっと品質向上に努めなければならないと感じています。

この仕事をする上で大切にしていることは、患者さん一人一人のお気持ちをどれだけ丁寧に引き出せるかということです。誰でもイヤイヤ行うことはストレスがたまります。まずは相手の気持ちに寄り添って、ゆっくり提案をさせていただくよう意識しています。自分が納得できないことはまわりがいくらセッティングしてもなかなか良い結果には結びつきません。その方のやる気やモチベーションが何より重要な原動力となります。多少窮屈な思いをしても、“心がハッピーと感じることなら良かった“という経験を少しでも体感していただけるよう、今患者さんが心で何を感じていらっしゃるのかという部分を丁寧に掘り下げることをスタッフ一同大切にしています。

Q.この仕事を通じてやりがいや充実感を感じる瞬間はどんなときですか?

A.今までなかなかご自分の思いを伝えられなかった方が、こちらに伝えてくださるようになったときには本当に良かったなと心から思います。それが例え言葉でなくても、例えば得意な絵を描いたり、表情や動作で懸命に伝えようとしてくださるときには本当に嬉しい気持ちになりますね。皆さんが落ち着いて毎日を穏やかに過ごせるようになったときにも、この仕事のやりがいを感じます。人の心に関わることですから、なかなか完治というものはないのが実情です。少しでもその方の健康的な部分を引き出して差し上げられたらなあといつも思います。少しずつ小さなステップを積み上げ、生きづらさを感じていらっしゃった方たちがちょっとずつでも楽になられていかれる様子を感じるときには大きな充実感がありますし、「もっと次はどうしようか」と私たちにとっても前向きな意欲に繋がっていきます。毎日のちょっとした出来事の中にもやりがいを感じられる現場ですね。

Q.これからの目標や達成してみたいことはありますか?

A.今、当院はさらに良質なケアの提供を目指して、大きな変革を迎えた過渡期にあるように思います。部門を超えて、扶老会病院全体として積極的に意見を出し合えていて、さまざまな取り組みにも挑戦しています。現場にいる私もワクワクしています。もちろん各個人や各部門でも目標を設定しながら日々の業務を行っているわけですが、「もっとこうしたらいいんじゃないか」「こう考えてみるのはどうだろう」と柔軟な発想でディスカッションできていて、全員で最良の解決策を模索しながら前へ進めている実感があります。今までのやり方を良い意味で打ち破ろうとするというか、少しでももっと良くしようとそれぞれが考え、動こうとする姿勢があちこちでみられます。私たちリハビリテーション科としても、組織としてしっかり機能を果たさなくてはなりません。作業療法士・理学療法士・言語聴覚士が三位一体となったその価値を、より高めていけるような取り組みをもっと考えたいですね。退院支援といった課題にも積極的にアイデアを巡らせる必要性を感じています。チームとしてももっと活発に前向きな議論を楽しんでいきたいですね。

Q.職場の風土や雰囲気を教えてください。

A.リハビリテーション科は作業療法士8人、理学療法士1人、言語聴覚士1人の全10名の構成です。男女比もおよそ半々で、フランクに何でも相談し合える良い空気感があります。プチカンファレンスのように、誰か思い立てばすぐに皆で自然と議論し合える関係です。月に一回、病院に対してリハビリテーション科から意見を提案させていただける機会もあり、現場の状況も随時説明させていただいていますので、病院全体がとてもフラットで、お互いの思いが伝わりやすい環境です。ここのスタッフは、基本的には各病棟に分かれて活動していますが、記録等で戻ってくるタイミングや、次の準備のために作業する時間などを有効利用して密に情報共有を行っています。お互いの状況をよく把握できていますし、急なメンバーの休みがあってもスムーズな対応ができています。20代からベテランまでキャリアも幅広く、フレッシュな発想から経験豊富な意見まで良い刺激を受けられる現場ですね。他職種ならではの新しい発見もよくあります。パワフルに機動力ある頼れるチームです。

Q.この仕事に向いている方や「こういう人と一緒に働きたい」と思われる方はどんな方ですか?

A.元気で明るく、自分の意見をしっかり持てる方はいいですね。自分の思いがとても重要になる現場です。初心者の方にもここは手厚いサポートがあるので安心です。例えば経験の浅い方にはデイリーノートというものを用意して、困ったことや疑問に感じたことなどをどんどん書いていただき、それに対して先輩スタッフがフィードバックするという体制を取っています。机上の勉強ばかりでなく、現場の中でしか体験できないことはたくさんあります。幅広い知識が必要とされる現場ですし、いままでいろいろな人生を歩んでこられた諸先輩となる患者さんと関わるわけですから、私たち自身も日々勉強です。生活の中のことをすべて治療として扱う作業療法士は特に本当に日々勉強です。自分自身も大いに成長できる現場ですよ。

1病棟 看護部/看護師長代行 勤務4年目:Tさん

この仕事の価値と面白さを肌で感じられる奥深い仕事、チームとしてのさらなる高みを目標に―

Q.こちらに入職されたきっかけや決め手になったことを教えてください。

A.以前は一般の総合病院で勤務していましたが、知人のすすめでこちらを知りました。こちらの働きやすさを重視した勤務体制には特に魅力を感じましたね。私は30年以上看護の現場に携わっていますが、精神科での勤務は初めてでした。精神科におけるケアというものがどういうものなのか、こちらに来て一から勉強し直しましたね。患者さんにお伝えする内容を正しく理解していただくということをひとつとってみても、なかなか難しい方も多いです。そういった場合、どういうケアをするのが患者さんにとって一番良い方法なのかということを常に考え続けなければならない現場です。いろいろな経験を積み重ねて、初めてわかることも多い科だと思いますね。

Q.現在のお仕事内容、大切に考えられていることなどを教えてください。

現在は1病棟全体を取り仕切る看護師長代行という役職に就かせていただいています。師長代行ですので、スタッフや病棟の管理面に関する業務がメインとなっています。現場監督のように一歩引いて、俯瞰してチームを見渡すような感じですね。スタッフの育成、患者さんに対していかに安心安全な看護を提供できるかという点については特に意識高く取り組んでいます。

こちらの1病棟は女性患者さんの専門病棟です。満床で58名の入院患者さんがいらっしゃいます。ご高齢の方が多く、精神疾患に加えて認知症も伴われる患者さんが非常に多いですからケアの内容もより複雑化します。患者さん一人一人の人権を最大限に尊重しながら、安心で安全な看護ケアを届けられるよう、スタッフ一同尽力しています。

私が大切にしていることのひとつに、スタッフ側の働く環境作りがあります。働きやすさをどう整えていくのか、まずスタッフたちが皆元気でいられることはとても重要な問題です。また、しっかり自分の考えを持っていないと務まらない現場でもあります。それぞれの意見をしっかり引き出し、患者さんのことで何か困り事があればすぐにカンファレンスを行ったりして、チームとして方向性を話し合うことを心がけています。マニュアルだけでは太刀打ちできないことの多い現場です。日々何が起きるかわからないですから、チーム医療を特に大切にしています。ここ扶老会病院にはいろんな職種の方々がいます。精神衛生福祉士(PSW)もいらっしゃいますし、カンファレンスは他職種の方々も活発に行っています。チーム全体として患者さんからの意見を広く吸い上げ、さらに活性化して質の高いケアに結び付けられるといいなと思います。

Q.この仕事を通じてやりがいや充実感を感じる瞬間、ご自身の成長を感じることはありますか?

A.今は特に管理者の立場ですので、患者さんに対してスタッフたちが良いケアを生み出しているときが一番強くやりがいを感じる瞬間ですね。目に見えるまでの良い結果にたどり着くためには長く時間がかかる仕事です。私たちのさまざまな取り組みも全てが成功しているわけではありません。だからこそ、ひとつでも良いケアに結び付いたと実感できるようなときは、チームの皆で喜びを味わいたいと思いますし、さらに次の目標に向かって頑張ろうという意欲も湧いてきます。

また、私自身もこちらに入職して考え方の幅が広がったように思います。以前の私は「こうだからこうあるべき」と言ったような凝り固まった考え方になりがちだったように思います。精神科の患者さんは1+1が2にならないと言いますか、本当にいろんな考え方をお持ちです。同じ言葉をかけてもその日そのときによって返ってくる反応も全く異なります。そういうひとつひとつの経験を通じて、「違う」ということを自分の中で受け入れ、理解するということを少しずつ学ばせていただきました。自分なりにも通信教育などを利用してかなり勉強しましたね。より良いケアを目指して認知症ケア専門士の資格も最近取得しましたし、こちらに来て自分自身としてもかなりスキルアップができたように思います。

Q.これからの目標や達成してみたいことはありますか?

A.医療の現場も高齢化は顕著です。認知症をはじめ、高齢者に対する理解や詳しい知識は近い将来、必須科目になると思います。「専門的な人がいない」ということだけでも現場は多大な影響を受けます。精神科でも例えば認知症の患者さんに対して正しい知識と対応が取れるよう、勉強する機会をもっと増やしていきたいと思います。「患者さんのことなら任せてください!」とどんな状況でも胸を張って言えるような、そんなスタッフの一人になりたいですね。また、地域の皆さんにも「扶老会さんはすごい!」と認めてもらえるような病院作りの活動にもっと尽力できればと思います。プロフェッショナル集団と呼べる組織を作りたいですね。

Q.職場の風土や雰囲気を教えてください。

A.病棟によって必要なケア内容が違い、それによって看護師の数も異なりますが、1病棟は看護師・准看護師8名、ナースエイド9名からなる全17名のチームです。年齢層も20代から50代までと幅広いですね。比較的いろんな科を経験されてきて、精神科にいらした方が多い気がします。新人さんには新入職者研修もあり、手厚い教育が受けられます。各部署では指導員がついて、実際の業務の中で生きた学びが得られます。研修制度も充実しており、院内院外問わず積極的に参加が可能です。ここのスタッフたちもそれぞれ資格に挑戦していますし、相談事にも親身になって解決しようとする熱いチームワークがあります。皆パワフルで頼りがいありますね。加えて病院全体としても、スタッフの新しい発想やチャレンジを認めてくれようとする雰囲気があります。壁を作らない風通しの良い職場だと思います。

Q.この仕事に向いている方や「こういう人と一緒に働きたい」と思われる方はどんな方ですか?

A.精神科は正直言って難しいところだと思います。ですが、中に入ればそれはとても奥深い世界であり、この仕事の価値と面白さを肌でダイレクトに感じられる職場です。患者さんの人権尊重を第一に、真に寄り添う看護を一緒に目指せる方はいいですね。日々仕事を通じて自分自身も成長し続けられる職場です。私も30年という看護師としてのキャリアがありながらも、初めての精神科看護では新鮮な気づきや発見が多くありました。患者さんのために地道に自ら勉強し続けなければならないことも事実です。ここは病棟内でも研修会など頻繁に行われていますので、皆で一緒に知識や技術を高められるチャンスがいっぱいあります。初めての方にも手厚くサポートしてくれる体制がありますので、安心して業務に取り組めますよ。ぜひ私たちと一緒に働いてみませんか?

2病棟/准看護師 勤務39年目:Nさん

その方にとっての“一番良い形”を探求して―ひとつでも多くの「できる」への変換を実現したい

Q.こちらに入職されたきっかけや決め手になったことを教えてください。

A.昭和55年に入職して以来、准看護師として扶老会病院で働いています。同級生が先にこちらに勤務していた関係で、「一緒に働いてみないか」と声をかけられたことが入職のきっかけとなりました。当時は男性看護職なんてまだ非常に珍しい時代でしたし、私自身もまったく別の仕事に就いていました。しかし、人命に携わる仕事というのは一体どういうものなのかと次第に興味も湧いてきて、話を聞くほど看護職という仕事に対しての価値と魅力を感じるようになりました。仕事と両立しながら我流に勉強をして、准看護師の資格を取得しました。当時はまだ准看護師は医療行為に直接的に関わることは少なく、どちらかと言うと患者さんの生活指導や作業のお手伝い、レクリエーションのフォローや精神的な部分の援助といった意味合いを持つ業務が中心だったので、初心者の私にとってはむしろ間口が広く飛び込みやすい環境でしたね。同級生もこちらで大いに活躍していて、患者さんとの日々のエピソードや人のぬくもりを感じるたび、この仕事に対しての強いやりがいと誇りを自分も少しずつ実感できるようになりました。会社員として代わり映えのないデスクワークの毎日を淡々とこなす未来より、ここに来たら何か自分にとっても大きく変われるチャンスなのではと期待して思い切って飛び込んだ40年前でしたね。

Q.現在のお仕事内容、大切に考えられていることなどを教えてください。

A.私が担当しているのは2病棟で、精神科の男性入院患者さんがいる場所になります。患者さんの年齢層的には60代以上の高齢者の方々がほとんどで、現在は満床の58名が入院生活を送られています。ここは毎日同じ仕事がないところです。その日その日によってクリアしなければならない課題や出来事があります。行事やイベントも多いですし、業務内容も分担して毎日入れ変わりますので、いつも新鮮な気持ちで仕事に向き合えています。

朝8時半から夜勤担当者の申し送りがあり、患者さん一人一人に対しての詳細な情報を得ることで私たち看護職の一日は始まります。朝食の準備や配膳下膳のお手伝い、服薬確認やバイタル測定、排便チェックや必要に応じての処置を行います。曜日によって異なりますが、入浴のお手伝いや作業棟への誘導、作業療法のフォローを行ったりもしています。レクリエーションの時間は絵を描いたり計算問題を解いたり、歌ったり体を動かすようなゲームをしたりします。毎月のカレンダー作りなど、患者さんと一緒に楽しんで取り組めるケアに努めています。

患者さん一人一人に対して看護職は担当制です。受け持ちの患者さんに対しての看護計画の検討や見直しをはじめ、患者さん側からの要望も随時盛り込みながら、さらに主治医や上司の意見を交えて何度も練り直します。仕事をする上で特に私が大切にしていることは、患者さんの要望に対しては「一旦受け入れてみる」という努力をすることです。実際にできること、できないことは当然あります。それでも一度はそれを叶えられるように自分の中であれこれアイデアを巡らせてみたり、まわりのスタッフに働きかけてみたり、患者さんの相談にもっと深く耳を傾けてみたりすることで急に物事の見え方が変わる瞬間があります。相手の意見をすぐに「できない」と思い込むのではなく、自分ができる最大限の解決策を一度試みるようにしています。患者さん一人一人が抱えられている思いや背景は、それぞれ違います。いろんな方がいらっしゃいますから、いたずらに患者さん同士のトラブルを引き起こさないためにも、お互いが納得できるよう緩衝材のような存在になれることを意識しています。患者さんには少しでもこちらで快適な入院生活をお過ごしいただきたいと思いますし、また最終的な社会復帰というゴールを見据えたサポートの在り方としても、私たち自身が常に前向きに取り組む姿勢を大切にしています。

Q.この仕事を通じてやりがいや充実感を感じる瞬間はどんなときですか?

A.患者さんが退院されるときや、通院の際にお声がけいただくときなどはとても嬉しいですね。お元気そうにされている姿を見るときには、やはりこの仕事のやりがいを強く感じますし、私たちのケアが良い方向に実を結んだことを実感できます。本来は病気を治して退院していただくというのが一番ベストな形です。しかし、実際にはなかなか退院までこぎつけられる患者さんは少なく、長期の入院生活を送られる方のほうが圧倒的に多いのが実情です。些細なことかもしれませんが、病院での生活が実生活に活かせていることを感じる瞬間もとても大きなやりがいを感じますね。患者さんが嬉しそうに談笑されるときや、思い思いの時間を楽しく過ごされている様子を拝見するときもとても嬉しいですね。皆さんが楽しそうだと、こちらもやる気がみなぎります。

Q.これからの目標や達成してみたいことはありますか?

A.准看護師として39年という年月を経て感じることは、ケアの仕方や看護職の在り方といった根幹部分の変革です。扶老会病院も患者さんのますますの高齢化に伴い、内科や外科的な知識も合わせて求められるようになってきました。仕事内容はひと昔に比べると確実に複雑化していますし、医療の範囲を広く捉えて、知識や技術も高い専門性を求められる時代になりました。この現場で言うと、特に患者さんの一時退院や、他の施設に移られる際の退院支援はこれからもっと重視されるものですし、私自身ももっと尽力したいと思います。患者さんの意向やご家族の理解を尊重しながら、最終的にはご自宅で穏やかに過ごしていただくことや、一人でも多くの方の社会復帰を実現できるような支援をしていきたいと思います。その方にとっての“一番良い形”をもっと模索していきたいですね。

Q.職場の風土や雰囲気を教えてください。

A.2病棟の看護師・准看護師は10名程度。ナースエイドさんも10名ほどいらっしゃって、皆で連携を取り合いながら日々の業務を行っています。20代からベテランまで幅広く、バランスの取れた良いチームです。仕事のメリハリもしっかりあり、楽しむときは思いっきり楽しめるパワフルなメンバーばかりです。お休みもしっかり取れますし、急な変更にもお互い助け合える仲間です。

新人研修も定期的に行われていますので、初心者の方も安心です。最初はマンツーマンで先輩職員がついて手厚く指導してくれます。わからないことがあればすぐに解決できるような体制作りにチーム全体が努めています。委員会活動も積極的に行われていますし、院外・院内問わず研修も盛んで、学びに溢れた職場です。

Q.この仕事に向いている方や「こういう人と一緒に働きたい」と思われる方はどんな方ですか?

A.ここにはいろんな年齢層の患者さんがいらっしゃいます。コミュニケーション力の向上はもちろん、お話することや人とふれあうことが好きな方は楽しく取り組める仕事だと思います。また、知識や技術よりむしろ自分の人間性が試される現場だと感じます。辛抱強く物事に向き合える力、壁にぶつかっても何としてでも乗り越えてやろうと打開策を見つけるガッツのような、そういった気持ちが持てる方とぜひ一緒に働いてみたいですね。精神科はそうして総合的な知識や経験が積み上がる科です。とはいえ、あまり特別な難しさを感じる必要はまったくないですので、初心者の方でも興味があればぜひ挑戦していただける仕事です。

3病棟 ナースエイド/勤務9年目:Sさん

深い理解と確固たる自信を胸に―解決策に繋がるお手伝いを今日も提供し続けて

Q.こちらに入職されたきっかけや決め手になったことを教えてください。

A.私の場合、こちらの求人を偶然見つけたことがきっかけでした。以前から医療に携わるような仕事には漠然とした興味や関心を持っていましたが、当時の私は具体的な医療の知識もまったくなければ、看護や介護の経験も一度もないという状態でした。“ダメでもともと”といったつもりの、本当にただ“やってみたい”という自分の純粋な思いだけに突き動かされての応募でした。前職は一般企業で事務職をしていましたので、こちらに入職後はイチからというより、まさにすべてがゼロからのスタートでした。実際に現場に入ると、何もかもが初めて経験することばかり…当時で言うヘルパーの資格すら持ちあわせていなかったので、自分の力量不足に打ちのめされる日もありました。それでも、人の命を預かる現場というこの仕事の価値や奥深さ、命の尊さに触れるたび、「もっと知りたい!」「もっと学びたい!」と不思議とどんどん引き込まれていく世界でした。気づけば今年で9年目になるなんて驚きますね。(笑)

もうひとつ、こちらを志望した大きな理由は働きやすい職場環境にあります。定時で帰れる勤務スタイルもとても魅力的でしたし、働きやすさにこだわりいろんな施策に取り組まれる職場だということを知り、とても共感しました。自宅から通いやすい距離にあったことも私にとっては決め手のひとつでした。

Q.現在のお仕事内容、大切に考えられていることなどを教えてください。

A.ナースエイドの仕事は患者さんを支援する、いわば「入院生活のサポート的業務」が軸となります。食事介助、入浴介助、排せつ介助といった患者さんの身の回りのお世話が中心で、患者さんとまさに一緒の目線に立って行う仕事です。医療行為は一切ありません。患者さん一人一人と深く関わることで内面的なサポートにも繋がったり、長く入院されていらっしゃる患者さんほど信頼関係はとても強固になります。ある意味、本当の家族よりも深い部分で繋がっているような感覚にさえなる仕事です。また、患者さんだけでなく、看護スタッフのサポーター的立場にもなります。例えばスムーズに処置を行えるよう環境を整備することも私たちの大事な仕事のひとつです。私が勤務する3病棟は認知症の治療病棟です。患者さんは80代から90代の方がほとんどで、看取りを含む約60名弱の方が入院生活を送られています。

仕事をする上で一番意識していることは、情報共有の重要性とスタッフの体と心の健康です。介護する側も体はもちろん、心が健康でなければ良いサービスは提供できません。私たちは元気を与える側の存在ですから、メンタルな面でもタフでなければなりません。「認知症」と一口に言っても、人によって状況はさまざまに異なりますし、昼と夜とですら人格的にも大きく変動する場合があります。季節の影響も敏感に受けますし、ちょっとしたきっかけでも状況は一変します。その方に、そのときそのときにあったベストな対応を考えることが重要な現場です。ささいな変化も見逃さぬよう、スタッフの連携や情報共有は欠かすことができませんね。

私自身も患者さんのためにもっと深く勉強しなければならないと日々痛感させられます。こちらに来てヘルパー2級と介護福祉士、さらに認知症ケア専門士の資格を取得しました。仕事と両立しながら勉強するということはとても大変ですが、実習などがあるときは快くお休みもいただけますし、学ぶことに対しては手厚いサポートがある職場です。スキルアップに前向きに挑戦されている方はとても多いので、それぞれが専門性高いケアを実現できていると感じます。ちなみにこの病棟のナースエイドは11名いますが、7名が介護福祉士の資格を取得しています。もちろん、教科書で得る知識と実際の現場で通用する常識は異なります。理想と現実の狭間で悩むことも多々ありますが、今自分が行っていることに対しては深い理解と確固たる自信を持てるようになりました。

Q.この仕事を通じてやりがいや充実感を感じる瞬間はどんなときですか?

A.平凡かもしれませんが、患者さんと笑って良い会話をして、誰も怪我をすることなく穏やかな一日を過ごせたときには大きな充実感がありますね。患者さんと共に笑顔で過ごす一日はやはり特別です。人の思いがぶつかる現場ですから、その瞬間その瞬間の空気感にすら大きく左右されることがあります。穏やかなみんなの笑顔は、病棟全体の雰囲気を変えるほどの力を持っていますね。

もっと早くこの仕事に巡り合いたかったくらい私はこの仕事が好きです。人の命に触れるこの仕事は大きなやりがいと充実感に溢れています。もちろん、生身の人間を扱う仕事ですから難しさもありますが、日々考えさせられることも多く、自分自身もそれに対して動き出したいと思います。終わりがない上に答えがない仕事です。何が最良のケアなのかということを丁寧に考えれば考えるほど、自分の中にしっかりとした厚みと深みを感じられるようになりました。

Q.これからの目標や達成してみたいことはありますか?

A.「パーソンセンタードケア(患者さんを中心にして考えるケア)」という言葉があります。理想論ではありますけれども、そういったケアが実際の現場にもっと落とし込めるようになれるといいなと思います。例えば「あの人は困った人だ」と捉えるのではなく、「(私たちから見て)困っている人だ」という捉え方をするような発想の転換です。こちらがその方にしてあげられることは何かということを一緒に感じて一緒に共有するといった感じで、その方のために真摯に解決策を探し出すお手伝いができるスタッフになりたいですね。実際は目の前の仕事や時間に追われがちで、なかなか思い通りに事が進まないドタバタな毎日ですが、だからこそ自分の考え方をコントロールするということはとても大切なことだと思いますし、一歩引いて景色を見渡す心の余裕というのもとても有効なことだと思います。

Q.職場の風土や雰囲気を教えてください。

A.スタッフの年齢層は20代から60代までと幅広く、信頼厚いチームです。子育て世代のスタッフも多いので、みんなで助け合ったり相談にも気軽に乗れる良い関係性があります。急なお休みにもお互い理解があり、頼りがいのあるチームですね。夜勤は週1回程度ありますが、お休みもしっかり取れていてメリハリのある働きやすい職場です。

Q.この仕事に向いている方や「こういう人と一緒に働きたい」と思われる方はどんな方ですか?

A.仕事の中に自分なりの楽しみを見つけられる方や、気持ちのコントロールが上手な方はいいですね。患者さんに対して親身になればなるほど、つい深く入り込んでしまいがちな仕事です。それでもプロのスタッフという立場として、そこはしっかり自分なりに考えられることが大切です。とはいえ、それほど難しさや堅苦しく考える必要はないですよ!ナースエイドは誰にでもできる仕事です。私自身がそうだったように、特別な資格や経験は最初はまったく必要ありません。また、すでに介護士など人のお世話をする資格を持っている方などにも強くおすすめしたい、やりがい溢れた仕事です。

4病棟 看護師/勤務10年目:Hさん

看護の在り方を振り返りながらこれからも質の高いケアを目指して

Q.こちらに入職されたきっかけや決め手になったことを教えてください。

A.看護師としてのキャリアは今年で20年になりますが、学生の頃から精神科には興味があり、いつか働いてみたい職場でした。そんな折、こちらの求人を偶然目にしました。扶老会病院は私にとって地元に近い昔からある病院のひとつでしたが、ここまで大きな規模で地域医療を支えている病院だということを初めて知って、当時はとても驚きました。今まで比較的小さなクリニックで外来看護師として勤務する経験が主でしたので、大きな病院で働くということ自体も私にとっては新しい挑戦でした。また、入院患者さんのケアも初めてでしたので、毎日目新しいことがいっぱいで良い刺激をいただける職場だと思いました。家から通いやすい距離にあったこともこちらに入職を決めた大きな理由です。

Q.現在のお仕事内容、大切に考えられていることなどを教えてください。

A.私は4病棟で勤務しています。精神科の一般病棟ですが、こちらは医療行為がとても多いという特徴があります。急性期の患者さんを多く受け入れ、保護室などもある棟となります。現在45名の方が入院されていますが、高齢の方がほとんどで、看取りをされる患者さんも含まれます。寝たきりの方、グループ内で入院が必要となった方、長く入院生活を続けられている患者さんなどさまざまな方がいらっしゃいます。食事介助、入浴介助などといった身の回りのお世話を中心に、ナースエイドさんたちと協力して業務を行っています。私たち看護師は、さらにバイタルチェックや点滴、医療行為を必要とされる方々へそれぞれ処置を行います。業務の中ではかなり踏み込んだ専門的な知識も必要となります。患者さん一人一人の治療内容についても自分なりに理解を深めておくことは必須ですし、チームとしても勉強会や情報交換をする機会は多く設けられています。経験豊富なスタッフから教えていただく知識や技術、他職種の方々との連携もとても重要ですから、高いコミュニケーション力が問われる現場ですね。

私が特に大切に考えていることは、患者さんには安全を提供すること。それが何においても一番重要だと思います。ご高齢の皆さんなので、ほんのささいなことも予期せぬ事故につながる可能性があります。病気を治す場なのに安心して入院生活を送れないなんて大問題ですし、人の命を預かる仕事ですから、最大限の配慮を常に心がけるようにしています。

Q.この仕事を通じてやりがいや充実感を感じる瞬間はどんなときですか?

A.やはり何と言っても退院される患者さんを見送るときほど嬉しい瞬間はありませんね。精神科は実際、退院される患者さんはまだ少ないという現実があります。退院された後はご家族の元に戻られたり、以前いた施設に戻られたりと人によってさまざまですが、それでも病院という制限が多い場所から出られるということは、やはり患者さんにとっては特別なことですよね。患者さんが笑顔で病院を出て行く瞬間は、この仕事において一番やりがいを感じる瞬間です。ここまで頑張ってきた患者さんの思いが報われる瞬間でもありますから、充実感もひとしおです。また、日々の業務の中でも、ご自身の力で少しでも歩けるようになった患者さんを見るときや、症状が軽快されたことがわかるときなどは、同じように心から嬉しく感じます。

Q.仕事を通じてご自身の成長は感じることはありますか?

A.『もっと幅広く貪欲に勉強しなければ!』という、自分の中で目標を持ち、突き進むことの楽しさを知りました。いい意味で危機感を持ち、積極的に院外の研修にも参加したいと思う自分に変わりましたね。

私は今まで准看護師でしたが、こちらで勤務しながら2年間通信制看護学校に通い、昨年、正看護師の資格を取得させていただきました。きっかけは看護部長の薦めでしたが、自分の将来を今一度考える上でも挑戦すべき資格だと考え、勉強を始めました。患者さんに対してより質の高いケアを提供するためでもありますし、看護師としての自分のこれからを見据えた上でもとても重要なターニングポイントになりました。知識の有無はやはり直接的に仕事の質に関わりますし、命を扱う現場としての緊張感や責任感そのものの向き合い方が全く違ってきました。何もかもが一から勉強し直しの日々で、仕事と並行しての試験勉強は辛く、本当に苦労しましたけれどもね。(苦笑)同じグループ内にも目指されている方がいて、心の支えになりました。先輩方も同じような経験をされてきた方が多いので大変心強かったですね。今までの自分の看護観を丁寧に振り返る良い機会でしたし、昨今の医療の在り方や患者さんへの接し方なども今一度じっくり立ち止まって考えることができました。並行して行う日々の業務に対しての振り返りとしても突き付けられるものがあり、ここに入職してからの10年は自分自身の大きな成長を実感しますね。

Q.これからの目標や達成してみたいことはありますか?

A.今、特に委員会活動には力を入れて取り組んでいます。私は感染委員会に入っています。院内感染はまさに命を預かる現場にとってはとても重要な問題ですから、これからも尽力できればいいなと思います。患者さんの安全を守るためにもとても重要な取り組みです。

また、私個人の目標としては正看護師になってまだ2年目ですので、着実に次にステップアップするために、さらなる目標を定めていけたらいいなと考えている最中です。まずは今目の前にあることを丁寧に積み上げていきながら、例えば将来的には認定看護師などにも挑戦できたらいいですね。自分のやってきたことを再確認するためにも、また看護師としてのこれからの道を窮めるためにも目標高くステップアップできるといいなと思います。年次的にもチームをまとめる側として活躍しなければならないですから、諸先輩方のご指導をいただきながら、少しずつそういう部分も自分の中で意識していけるといいなと思います。もっと積極的に、チーム全体として引き上げられる何かに貢献できるといいなと思います。

Q.職場の風土や雰囲気を教えてください。

A.4病棟の看護師は准看護師十数人のチームです。男性スタッフもいますが、女性がとてもパワフルに働いている現場ですね。ベテランスタッフも多くて、頼りがいのあるチームです。他職種との関わり合いも深く、新しい発見や吸収すべきことも日常的に多い職場です。夜勤もありますが、みんなで相談し合いながらうまくシフトも組み合わせて協力しています。とても忙しい毎日ですが、お互いが積極的に声を掛け合ってチームワークを感じさせてくれる職場です。

Q.この仕事に向いている方や「こういう人と一緒に働きたい」と思われる方はどんな方ですか?

A.扶老会病院はステップアップを目指したい方を手厚くサポートしてくれる環境があります。資格取得や勉強会などでお休みを必要としたい場合にも、相談すればかなり考慮してくださいますし、看護師としての経験がすでにあっても、私のようにもう一度学校に通いたいという方には奨学金制度もあり、安心して仕事との両立に挑戦できます。私自身たくさん助けていただきました。新人さんに対しても皆が丁寧に教えてくれますから、ぜひ興味がある方にはおすすめしたい職場ですね。

一方で、タフさが必要となる現場であることも事実です。自分自身が元気で健康であることも大切なことですね。精神科は他の科と比べると総合的な力が求められる科だと思います。最初は戸惑うことも多かったですが、日々学ぶことは多く、視野はとても広がりましたね。患者さんの高齢化で認知症に対する深い知識を必要とされる場面も多いです。言葉にできない患者さんも多いので観察力もとても重要となる現場です。

リハビリテーション科/作業療法士 勤務3年目:Sさん

いつも患者さんの気持ちは真ん中に―専門性高い三位一体の立体的なケアをこれからも―

Q.こちらに入職されたきっかけや決め手になったことを教えてください。

A.作業療法士としてのキャリアは20年以上です。さまざまな現場を経験してきましたが、精神科の仕事には以前より興味がありました。作業療法士をはじめ、理学療法士や言語聴覚士といった専門スタッフが常駐しているような精神科はなかなかありませんが、こちらはそういう部分にも熱心に取り組まれており、患者さんに対してトータルで質の高いケアの実現を目指されています。とても共感しました。加えて、扶老会は施設内に保育施設が併設されており、当時、2歳の子供を抱えていた私にとっては大変ありがたい環境でした。女性にとって、自分のキャリアを生かしながら、安心して働ける職場であるということはとても重要なことですよね。イヤイヤ期まっただ中の2歳児を連れての出勤は毎日ドタバタで、皆さんにも多々ご迷惑をおかけしました。それでも笑顔で迎え入れてくださる保育所の皆さんや、理解ある職員の皆さんにはいつも支えていただきました。今思い返してみても感謝の気持ちで一杯です。

Q.現在のお仕事内容、大切に考えられていることなどを教えてください。

A.リハビリテーション科の主任をしています。作業療法士として直接的に患者さんのケアに携わることもありますが、主には各病棟でそれぞれの業務にあたっているスタッフたちのコーディネート的な仕事が多いですね。各病棟から戻ってくるスタッフたちの相談事や、持ち帰ってきた案件などに対して話し合いをしたり、解決に向けての糸口を見つけ出すことが私の仕事です。

精神面でのご病気を抱えていらっしゃる患者さんたちに対して、私たち作業療法士が提供するものは、単なる身体的なケアだけではありません。心のケアも合わせて必要となる現場ですから、例えば患者さんがお好きなスポーツや歌、絵を描いたりといった創作活動も効果的に取り入れながら、お一人お一人の気持ちを真ん中に、一緒に楽しみながら行うケアです。その中でご自身で気づきを得ていただいたり、ストレス発散に繋げるなど、コミュニケーションの仕方を再学習していただくような導きを軸にしています。内面的な奥深い部分にも触れる仕事です。入院患者さんはほとんどがご高齢の方ですので、それに加えて身体的なリハビリやトレーニングも合わせて必要となります。

また、当院の特徴は、さらに理学療法士や言語聴覚士と三位一体となっての立体的なケアの提供です。一般的に言うリハビリとは違い、幅広くいろんなアプローチの可能性が広がるケアです。中でも作業療法士たちは「心のリハビリテーション」に力を入れています。身体的なケアは理学療法士がしっかりついてサポートしていますので、機能訓練的な内容も充実しています。敷地内には扶老会グループのさまざまな施設がありますから、そういった意味でも多彩な方向性やアプローチを考えやすい場です。それぞれがその道のプロフェッショナルとして専門性高いケアを提案できていると思います。私はその部門の責任者として、さらにもっと品質向上に努めなければならないと感じています。

この仕事をする上で大切にしていることは、患者さん一人一人のお気持ちをどれだけ丁寧に引き出せるかということです。誰でもイヤイヤ行うことはストレスがたまります。まずは相手の気持ちに寄り添って、ゆっくり提案をさせていただくよう意識しています。自分が納得できないことはまわりがいくらセッティングしてもなかなか良い結果には結びつきません。その方のやる気やモチベーションが何より重要な原動力となります。多少窮屈な思いをしても、“心がハッピーと感じることなら良かった“という経験を少しでも体感していただけるよう、今患者さんが心で何を感じていらっしゃるのかという部分を丁寧に掘り下げることをスタッフ一同大切にしています。

Q.この仕事を通じてやりがいや充実感を感じる瞬間はどんなときですか?

A.今までなかなかご自分の思いを伝えられなかった方が、こちらに伝えてくださるようになったときには本当に良かったなと心から思います。それが例え言葉でなくても、例えば得意な絵を描いたり、表情や動作で懸命に伝えようとしてくださるときには本当に嬉しい気持ちになりますね。皆さんが落ち着いて毎日を穏やかに過ごせるようになったときにも、この仕事のやりがいを感じます。人の心に関わることですから、なかなか完治というものはないのが実情です。少しでもその方の健康的な部分を引き出して差し上げられたらなあといつも思います。少しずつ小さなステップを積み上げ、生きづらさを感じていらっしゃった方たちがちょっとずつでも楽になられていかれる様子を感じるときには大きな充実感がありますし、「もっと次はどうしようか」と私たちにとっても前向きな意欲に繋がっていきます。毎日のちょっとした出来事の中にもやりがいを感じられる現場ですね。

Q.これからの目標や達成してみたいことはありますか?

A.今、当院はさらに良質なケアの提供を目指して、大きな変革を迎えた過渡期にあるように思います。部門を超えて、扶老会病院全体として積極的に意見を出し合えていて、さまざまな取り組みにも挑戦しています。現場にいる私もワクワクしています。もちろん各個人や各部門でも目標を設定しながら日々の業務を行っているわけですが、「もっとこうしたらいいんじゃないか」「こう考えてみるのはどうだろう」と柔軟な発想でディスカッションできていて、全員で最良の解決策を模索しながら前へ進めている実感があります。今までのやり方を良い意味で打ち破ろうとするというか、少しでももっと良くしようとそれぞれが考え、動こうとする姿勢があちこちでみられます。私たちリハビリテーション科としても、組織としてしっかり機能を果たさなくてはなりません。作業療法士・理学療法士・言語聴覚士が三位一体となったその価値を、より高めていけるような取り組みをもっと考えたいですね。退院支援といった課題にも積極的にアイデアを巡らせる必要性を感じています。チームとしてももっと活発に前向きな議論を楽しんでいきたいですね。

Q.職場の風土や雰囲気を教えてください。

A.リハビリテーション科は作業療法士8人、理学療法士1人、言語聴覚士1人の全10名の構成です。男女比もおよそ半々で、フランクに何でも相談し合える良い空気感があります。プチカンファレンスのように、誰か思い立てばすぐに皆で自然と議論し合える関係です。月に一回、病院に対してリハビリテーション科から意見を提案させていただける機会もあり、現場の状況も随時説明させていただいていますので、病院全体がとてもフラットで、お互いの思いが伝わりやすい環境です。ここのスタッフは、基本的には各病棟に分かれて活動していますが、記録等で戻ってくるタイミングや、次の準備のために作業する時間などを有効利用して密に情報共有を行っています。お互いの状況をよく把握できていますし、急なメンバーの休みがあってもスムーズな対応ができています。20代からベテランまでキャリアも幅広く、フレッシュな発想から経験豊富な意見まで良い刺激を受けられる現場ですね。他職種ならではの新しい発見もよくあります。パワフルに機動力ある頼れるチームです。

Q.この仕事に向いている方や「こういう人と一緒に働きたい」と思われる方はどんな方ですか?

A.元気で明るく、自分の意見をしっかり持てる方はいいですね。自分の思いがとても重要になる現場です。初心者の方にもここは手厚いサポートがあるので安心です。例えば経験の浅い方にはデイリーノートというものを用意して、困ったことや疑問に感じたことなどをどんどん書いていただき、それに対して先輩スタッフがフィードバックするという体制を取っています。机上の勉強ばかりでなく、現場の中でしか体験できないことはたくさんあります。幅広い知識が必要とされる現場ですし、いままでいろいろな人生を歩んでこられた諸先輩となる患者さんと関わるわけですから、私たち自身も日々勉強です。生活の中のことをすべて治療として扱う作業療法士は特に本当に日々勉強です。自分自身も大いに成長できる現場ですよ。